客家の隠れ里 福建土楼に個人で行ってみた

海外旅行

今回は中国北京&福建省&上海の3泊4日の旅行、2日目の福建土楼旅行記をお届けします。
地理の教科書で見て以来いつか行ってみたいと思っていた土楼。
せっかくこんなに遠いところまで足を伸ばすなら、宿泊して土楼の生活を肌で感じたいと思い、1泊してきたので、その体験記をお届けします!

福建土楼ってどんなところ?

福建省南西部には、土楼と呼ばれる集合住宅が点在しています。ここは漢民族の中で北方からこの地方に移り住んだ「客家」によって、12-20世紀の間に山間の渓谷に土を使って建造されたもの。
現在も46もの土楼が残っていて、円形または方形であるのが特徴。

どの土楼も入口は一つで、外壁は分厚く、下階には窓がなく、上階には窓と銃のための狭間が設けられています。これらは軍事目的で築かれたもので、盗賊からの侵入を防ぐという役割も持っていました。

厦門の宿を出発

今回厦門で泊まった宿はtrip.comで評価が高いからという理由で適当に予約した佰盈ホテル 廈門(高崎国際空港)

午前2時のチェックインでしたが、フロントに人がいてくれたおかげでスムーズなチェックイン。
部屋も清潔、値段も4,000円程度とかなり安く、コスパ良く泊まれました。
アメニティもタオル、シャンプー、ドライヤー、くし等清潔なものが一通り揃っていました。

唯一惜しいのは飛行機が遅延したせいで?ホテルに6時間半くらいしか滞在できなかったこと。
午前2時のチェックインだったもので…
写真すら撮る気力無く、唯一の写真は廊下の写真だけでした。

午前8時、泣く泣くホテルを後にしました。

中国新幹線での移動 厦門北駅→龙岩駅

DiDiを使って30分ほどで厦門北駅に到着。料金は53元。
18kmほど乗って1,000円ちょっとはかなり安い。

中国の鉄道駅に入るのには荷物検査が必要。
しかし、荷物検査は3分で終了し、時間が余ったので駅ナカのご飯屋さんで朝食を食べました。
中国では朝食の定番のピータン粥と肉まんをいただきます。セットで26元。
どちらも思ったよりあっさりした味付けでした。日本で良くある醤油の濃い目の味付けの方が好きかも。
中華料理はとにかく辛い・味が濃いイメージでしたが、薄口の料理も多いことを学びました。

ご飯を食べてゆっくりした後、中国の新幹線で龙岩駅に移動。

事前にTrip.comでチケットを購入しておきました。
Trip.comで買っておけば、自動で座席が割り当てられ、当日はパスポートを見せるだけで改札を通れます。
発券手続きは不要です。
中国人も自分の身分証明カードをかざすだけで改札を通過しています。
こういったチケットレス化は日本よりも中国の方がはるかに進んでいる気がしました。
(もちろん完全監視社会という代償はありますが)

中国新幹線、早く快適に簡単に移動できるのでおすすめです。
次回以降中国に旅行する際も使ってみようかな。

車をチャーターして龙岩駅→福建土楼に移動

10時50分、新幹線に1時間20分ほど乗車し、定刻で龙岩に到着。

さあここからが大変です。

最も近い土楼までの走行距離は80kmほど。
土楼までの交通手段は2つ。

1、路線バスを乗り継ぐ
2、車をチャーターする

1.の方法が断然安いですが、この旅行記のようにバスを何回か乗り継がないといけないようです。
・バスの本数が少なく何時に来るか読めない
・今回宿が遠いため、結局最後は車をチャーターしないといけない
という理由から、今回は費用はかかりますが2.の方法で行くことにしました。

龙岩駅を出た後、駅前で車を探します。

すると、駅前に固まっている男たちの一団を発見。
一団に突っ込むと、1人のおじさんが話しかけてきました。

「×〇〇×!」

と予想通り中国語で話しかけてきます。

「トゥーロゥ(土楼)」というと、また中国語で、「*#¥%@〇×!」と返されます。

ここで、今回の目的地について。
実は、土楼は土楼群というだけあって複数のエリアに点在しています。

上の地図は今回宿泊した「文昌楼」のある田螺土楼群です。

このうち、最も観光地化されているのが永定土楼群(地図上の福建土楼客家民俗文化村)
で、龙岩からの路線バスもここに発着。

今回は最も沢山の土楼が集まり観光地化されている永定土楼群でたくさんの土楼を見た後、宿泊の予約を取っており、逆にあまり観光地化されておらず、客家の生活をより感じられるのではないかと期待している田螺土楼群の二つに行くことにしました。

さて、私は全く中国語が分からないため、交渉を進めるためにここでGoogel翻訳を起動。
何とか金額の交渉に持っていきます。
Google翻訳を駆使して、おじさんとの言い値を整理すると以下のようです。

①永定土楼の往復:250元
②田螺土楼の往復:350元
③永定・田螺両方の往復:450元
※片道と往復では料金は変わらないとのこと(帰りは空車で帰ってくる可能性が高いため)

永定・田螺は距離が離れているため、③の通り2つを一緒に回ると料金が上がるとのことでした。

どうしても③を選択しつつ、料金を安くしたい私。

ここで必殺技の交渉術、「競合と競わせる」を発動します。
おじさん以外の他の人に話しかけてながら料金を下げることを試みる私。
しかし、中国語ができないため会話が思うように進まず、中々上手くいきません。

そうこうしているうちに、おじさんが呼んだドライバーが到着。
なんとかして早く商談をまとめたいおじさん。

私とおじさんの30分にわたる交渉(バトル?)の末、③を415元(約9,000円)まで値下げして決着。
もう少し値切れた気もしますが、早く出発したいという気持ちもあり妥協の気持ちでOKしました。。

すると今度はおじさんとドライバーが激しい口論に。どうやらおじさんはブローカーで、ドライバーがおじさんに支払う金額をどうするかで揉めているようです。

左がドライバー、右がブローカーのおじさん

結局、ドライバーがおじさんに415元のうち70元を支払うことで決着。おじさん、そんなにお金をもらっていたのか…

何はともあれ、結局駅についてから40分ほどたったところで永定土楼に向けて出発です。
ちなみに車はBYD。さすが中国、こんな田舎でもEVが普及しているのね。永定土楼にもEV充電スタンドがありました。

土楼のデパート、永定土楼

車を走らせてから2時間ほど、13時半に永定土楼に到着。
もっと人が多いかと思っていましたが、全然人がいません。日曜日なのに。

日本の田舎のような鄙びた空気が漂っています。

ドライバーに「まずはご飯を食べに行こう」と言われ、近くの料理屋でご飯を食べた後、いよいよ永定土楼に。ここは土楼が数十軒集まっているエリアで、見たところ土楼内で生活している方もいるようです。

豆腐、美味しい

土楼は「福建土楼客家民俗文化村」という観光施設の中に集まっており、入場料が必要。

するとおばあさんが現れ、「ガイドをする。お前の入場料も正規だと90元だが、45元にしてやる。後で50元支払え。」と言ってきます。
内心「本当か?」と思いましたが、入場料が安くなるのはありがたいので着いてきてもらうことに。

そうして券売所が近づいてくると、ガイドのおばあさんに「君の家族写真を用意しておきなさい。」と言われました。内心さらに「???」という気持ちでいっぱい。

おばあさんに「分かった」と言って券売所に行くと、おばあさんからひと言、「学生券を買って、券売所の人には家族写真を見せれば学生だと思ってもらえるから」と。
実は一般料金は90元、学生料金は45元なのでした。

不正行為を斡旋しないでくれ。。。。

もう学生じゃないよーと思いながら、渋い気持ちで券売所で一般料金で入場チケットを購入したのでした。

さて、村内に入場。少し歩くと、土楼群が現れます。土楼は一つ一つに特徴があります。よく写真で見る円形の土楼の他に、正方形、長方形、楕円型など。

箱型の土楼

土楼は生きています。そこで洗濯物を干して、食事を作り、寝て暮らしている人がいる。
永定土楼は観光施設ですが、実際にそこで生活している人が沢山いて、生活の様子を見せていただいている。不思議な感覚でした。

そして、おばあさんの解説をGoogle翻訳しながら聞いている内に、解説を聞きながら回るのも良いなと感じるようになっていました。
ただ見るだけでなく、中の装飾や神様を祭っている部分などを解説してもらえることでよりそこで住んでいる方の生活に近づくことが出来た、そんな気分になってくるのです。
学生料金入場という不正行為の斡旋はどうかと思いますが(私のことを本当に学生だと思ったのかもしれません)、ガイドを聞きながら観光できるのはいいかもしれない、そう思えた永定土楼の観光でした。

「福建土楼客家民俗文化村」内で一番小さい土楼「如成樓」、サイズが可愛い

田螺土楼「文昌楼」に泊まってみた

宿泊料金

2,269円(Trip.comで事前に支払い)
※別途田螺土楼群内への入場料金90元(約2,000円)を現地で支払い

1時間ほどで永定土楼の観光を終え、時刻は15時過ぎ。
田螺土楼群に向かいます。

田螺土楼群までは永定土楼から山道を登り1時間ほどの道のり。
途中スコールが降ってきたりもありましたが、他の土楼群も眺めながらの楽しい道のりでした。

土楼群の中で最大の「裕昌楼」、田螺土楼群に向かう途中で立ち寄りました

田螺土楼群は永定土楼群よりも観光客が少なく、より生活のための土楼という雰囲気。
歩いて展望台に向かうと、眺めが最高でした。
田螺土楼群には土楼が5軒ほどあり、その中の「文昌楼」に宿泊します。

到着すると、ちょうど土楼の中で夕食の準備が始まるところでした。
切る前の野菜。研ぐ前のご飯。絞められたばかりの鶏。美味しそうな匂いが漂います。

ご飯もいただきました。メニュー表を見せてもらい、その中から選択します。
川魚のフリッターと、トマトと卵のスープをいただきました。合わせて50元。

どちらも優しい味でおいしくいただきました。

土楼の宿の設備を紹介します。
部屋は写真の通り清潔。私はダブルベッドの部屋に泊まりましたが、ツインベッドの部屋もあるようです。
シャワー・トイレはいずれも共同。
シャワーは古い日本の家くらいの綺麗さ。古いとは感じますが、十分掃除されていると感じるレベル。
トイレは、、土楼の外、屋外にありちょっと残念なクオリティ。3階にある部屋から階段を降りて2,3分歩きます。日本のちょっと汚め公共トイレくらいのレベルだと思います。

アメニティは、
○:シャンプー、ボディソープ、ドライヤー、ティッシュ、歯ブラシ
×:寝巻き、タオル(個人的に結構困った!、言えば借りられたかも)

食事は、夕食・朝食はお願いすれば有料で作ってくれます。
その他色々無料でおすそ分けしてくれます。私は梨とバナナを住民の方にいただきました。

夜の土楼は例えようのない美しさでした。しっかりした土の壁の質感が素敵でした。
文化財に泊まるというワクワク感を存分に味わえます。

まとめ

土楼は厦門からバスツアーを利用したりタクシーをチャーターしたりして日帰りで訪れることもできます。でも、夜の土楼での宿泊は日帰りでは味わえない特別な体験。
中国のこの山奥でしかみることのできない景色です。

暗闇の中月明かりに照らされる土楼で一晩を過ごしてみませんか?

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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